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中学生の頃、

星新一さんの

ショート・ショートを

読みふけりました。
あんな物語と文章を書けたら、

と憧れたものです。

ショート・ショート

・ショート

 

あなたは、

微笑まずにいられるか

サンタさんへの贈り物

 

「サンタさんなんか、いないんでしょっ。

 ホントは、おかあさんなんでしょぉ。」

小学校から帰ってきたばかりの、

めぐちゃんが泣きべそをかきながら言う。

 

「えっ!?」

おかあさんは一瞬、

何のことかわからなかった。

「だって、友だちはサンタさんから

 プレゼントもらってないって。」

めぐちゃんの泣きべそが続く。

 

(そうか。きのうのこと、

 お友だちに話したんだぁ・・。)

 

 

 

きのうは、12月23日。

一日早いクリスマスイブ。

プレゼントとは、

少しでも早い方が喜ぶかなと思って

枕元に置いた、

サンタさんからのおくりもの。

「あわてんぼうのサンタクロース

 だったんじゃない?」

おかあさんは、そう言うのが精一杯だった。

「ほらっ、歌にもあるし・・・。」

苦しい言いわけが続く。

 

でも、子どもの夢をこわすことはできない。

ここはなんとか、誤魔化さないと。

「じゃぁ、サンタさんへ

 何か贈り物をしたら? 手紙を書くとか。

 それでお返事がきたら、

 サンタさんは本当にいるんじゃない?」

 

めぐちゃんは、少し落ち着きを

取り戻したようだ。一生懸命考えている。

 

そして、

「うん、書いてみる。手紙。」

わずかに、めぐちゃんの泣き顔が

ほころんだ。

                       

次の朝、階段を駆け下りてきためぐちゃん。

「おかあさん、おかあさんっ!

 来てた~っ、手紙。

 サンタさんからのお返事っ。」

と声をはずませた。

「ほんとに?」

おかあさんは、うれしそうに聞き返す。

「うん。きのうの夜、

 枕のとこにお手紙おいといたの。

 『プレゼント、ありがと』って書いて。

 そしたら、ホラっ!」

 

そう言って差し出しためぐちゃんの手には、小さな封筒が大事そうに握られている。

「もう読んだの?」

おかあさんが訊く。

「ううん。」と、くびを振る。

 

読むのがコワいのだろうか。

じっと考え込んでいる。

「じゃぁ~、一緒に読もっかぁ?」

ためらうわが子をうながし、

封筒の中の手紙を取り出した2人。

声を重ねながら、

サンタさんからの返事を読んだ。

『めぐちゃんへ

 

 お手紙、ありがとう。

 プレゼントが一日早くなってゴメンね。

 でも、真っ先にめぐちゃんに

 届けたくて。

 

 プレゼントは気に入ってもらえたかな?

 来年はあわてて日にちを

 間違えないようにするから。

 それまで、よい子でいて待っててね。

 では、また。

     12月24日 サンタより』

「よかったね。」

おかあさんが、めぐちゃんに微笑みかける。

「うん。」

めぐちゃんのうれしそうな目が、

何度も、何度も、

サンタさんの手紙の文字を追っていた。

次女みるく へ

 

 〜 君へのレクイエム ~

 

君は、透明の衣装ケースに入って

やってきた。

ちっちゃなからだを、

ケースの中で滑らせながら。

我が家の3人目の子、次女みるく。

ボールが好きで、ボーンも好きで、

ささみが大好きで。

我が家は、

君の写真でいっぱいになってます。

家族として最後にきて、

最初にいくなんて悲しい。

もっと一緒にいたかったのに。

君は幸せでしたか。

我が家は、

君からたくさんの幸せをもらいました。

一緒に歩いた散歩道。

君は時々、こちらをチラッと振り向いて、

ひたむきに、まっすぐ歩いてました。

つらかった時、

そんな君にどんなにたすけられたか。

散歩の時だけは、嫌なことを忘れられて。

 

君の目が見えなくなった時。

散歩にも行けなくなって

ショックだったけど、

それでも懸命に生きる姿に

心を打たれました。

 

最後まで精いっぱい生き抜いた君。

いろいろと生きるのが

たいへんだったでしょ。

もう、ゆっくりと休んで。

天国では、

本当のママやパパと会えるといいね。

うちに来てくれて、ありがとう。

逢えてよかった。

君のことは、ずっと忘れない。

 

             君のパパより

5千円もらったの?

 

選挙シーズン真っ盛りのある日。

 

まだちっちゃな娘が私に訊いた。

「あの人、5千円もらったの?」

 

「えっ!? 何のこと?」と私。

 

「5千円、ありがとうございますって。」

と、娘が続く。

 

なんだ、ご声援、ねぇ。

でも、ほんとに5千円だったら、

それって、収賄かぁっ!?

汚職事件

 

テレビで、政治家の汚職事件を

取り上げていた。

 

それをみてた、ちっちゃな娘が

ポツリと一言つぶやいた。

「いいなぁ。ほしいなぁ。」

 

私「えっ! なにが?」

 

娘「だって、ごはん食べに

  行けるもん。」

 

なんだ、お食事券ね。

私も、ほしい。

はじめてのバス

 

何にもないド田舎から、

都会に初めてやってきた老夫婦。

 

ドキドキしながらも、

バスなるものに、初めて乗った。

すると、「ピンポーン」という音

がした後、乗客が降りていく。

 

次の停車場を告げるアナウンスは、

老夫婦の目的の場所だった。

でも、どのようにして降りれば

よいのか、わからない。

 

そうこうしているうちに、

バスが目的地の停車場に止まった。

テンパったおじいさん。

思わず、「ピンポーン」

と叫んでしまった。

はじめての映画館

 

何にもないド田舎から、

都会に初めてやってきた老夫婦。

 

映画館なるもに、初めて行った。

チケットを買うように言われ、

ドキドキしながらも、

売場の列に並んだ。

 

すぐ前に並んでいた若者が、

「学生、1枚」と言って、

チケットを買った。

 

いよいよ、おじいさんの番。

何と言っていいかわからずテンパって、

思わず、「百姓、1枚」

と言ってしまった。

花占い

 

あなたなんか大嫌い

 

好き

 

嫌い

 

好き

 

嫌い

 

 

でも、やっぱり大好き

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